千石空房

 仕事の話ではない。

先日、職人仲間の一人、万年筆職人の川窪さんを訪ねた。

万年筆を手作業で作るだけでも、今や日本全国探したところで
2,3人しか見つからない貴重な人材なのである。

この方が実に多才なお人で、職人だからアナログなのかと思いきや、
まったく正反対のデジタルな人。

気が付けば、ライブをやっていたりもする。音楽にも精通しているのだ。

雑談の中で、どんなジャンルの話にも食らいつくその様子から、
この人は一体・・・とにかく守備範囲が広い。なので今だ全容はつかめていない。


その川窪さんを訪ねたのだ。といっても工房ではない。
工房に隣接する「千石空房」という異空間懐古スペース(?)である。

ここで詳しくは言及しないが、駄菓子あり、日本画の作家さんの個展あり、
オモシロ楽器あり、etc、そしてどこかちょっとノスタルジックなスポットなのだ。

一応、忘年会ということだったのだが、16時スタートと早く。
うちの娘と同じ学年の娘さんがいることも知っていたし、
一緒に誘い合わせた鍛金のアーティストKTちゃんも2歳のお子さんを
連れていくということだったので、私んところは娘・倅・妻4人一家総出で押しかけた。

出席者も多彩だ。医療専門出版の人、空房の文学部を自称する作家の人、
プログラムを組み込まれ音楽を奏でるカエルのぬいぐるみを作る人、
精密鋳造を専門とする芸大出身の人、1年ほど中国へ留学していたという学生さん、
お玉トーンという不思議な楽器を製作する人etc

中1の倅は日記に書いた。
「大人が多くて少しきん張したけどおもしろい人がたくさんいたので気が楽になりました。」と。
また「KZさんのおたまトーンは実にinterestingでしたが、くだらないなと思いました。」と、
惜しみない称賛を浴びせている。

小2の娘は日記に書いた。
「大人が多かったけど、だがしをたべられたからぜんぜんきんちょうしなかった。」と、
お兄ちゃんのを見ながら書いたらしく混線してしまったようだ。
最後に「だがしたべほうだいサイコーーーーー!!」と締めくくって喜びを表現している。


私は、プロ演奏家の永田さんの隣に座れたことが大変な幸運であった。
波紋音(はもん)という鉄製の独特の楽器で、2本の細いバチで幻想的な音を奏でる。
以前演奏を間近で聞かせて頂いた事があるが、今回は実際に触れる機会に恵まれたのである。

ちょうど千石空房での演奏の様子がyoutubeにあるということだったので探してみた。
実に素敵な音である。うちの娘もお気に召したらしい。

5月にはライブがあるということなので楽しみにしている。


それにしても、川窪さんのところに集う方々のなんと多彩なことか。
他にもデザイナー・写真家・ライター・・・彼のおおらかな性格が人を寄せるのだろう。


最後に大変レアな情報を。
来年のいつか、千石空房がカフェを始めるそうだ。有機農法で栽培された豆を
そこで自家焙煎し、豆そのものも販売するそうである。

先日もデモ的に焙煎されたものを分けて頂いてきた。
何でもインドネシアのガヨマウンテンという銘柄で、担当の方の推奨品。

確か電動のも木製のも結構新しいのがあったはずと・・・・
しかし、出てきたのは30年以上前にはじめて使ったガラスのコーヒーミル。

千石空房の空気がこれを呼び寄せたのか。
この芳しき香りの中で、懐かしい思い出に浸ることになった。

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錫光は、ロクロ挽きで酒器・茶器等の錫(すず)製品を作る工房です。地金の仕入れから鋳込み・ロクロ挽き・ツチメ打ち・絵付け・漆塗りなど一貫した手作りにこだわる伝統工芸品を製造販売しています。
このサイトは、新着情報や日々感じたことなどを気まま勝手に綴る、錫光のオフィシャルブログサイトです。

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